航空機寄託手荷物遅延等費用補償特約

第1章 用語の定義条項

第1条(用語の定義)

この特約において、次の用語の意味は、それぞれ次の定義によります。

用語 定義
寄託手荷物

被保険者が責任期間中に携行する身の回り品で、かつ、航空機の搭乗時に航空会社に運搬を寄託した手荷物をいいます。

他の保険契約等

第2条(保険金を支払う場合)の全部または一部に対して支払責任が同じである他の保険契約または共済契約をいいます。

保険金

寄託手荷物遅延等費用保険金をいいます。

保険事故

被保険者が費用を負担する原因となった第2条(保険金を支払う場合)に規定する事由の発生をいいます。

第2章 補償条項

第2条(保険金を支払う場合)

(1)

当会社は、被保険者が乗客として搭乗する航空機(注)が予定していた目的地に到着してから6時間以内に、寄託手荷物が予定していた目的地に運搬されなかったために、被保険者が予定していた目的地において負担した費用を、この特約および普通保険約款の規定に従い、寄託手荷物遅延等費用保険金として被保険者に支払います。

(2)

当会社が支払うべき(1)の寄託手荷物遅延等費用保険金の額は、1回の寄託手荷物の遅延について10万円またはこの保険契約に付帯される携行品損害補償特約の保険金額のいずれか低い額をもって限度とします。

(注) 航空機
定期航空運送事業者が路線を定めて運行する航空機にかぎります。以下この特約において同様とします。

第3条(寄託手荷物遅延等費用の範囲)

前条(1)の費用とは、被保険者が搭乗する航空機が予定していた目的地に到着してから96時間以内かつ旅行行程中に、被保険者が予定していた目的地において負担した、次の1.から3.までに掲げるものをいいます。ただし、その寄託手荷物が被保険者のもとに到着した時以降に購入または貸与を受けたことによる費用を除きます。

  1. 衣類購入費
    寄託手荷物の中に、下着、寝間着等、被保険者が予定していた旅行行程において必要不可欠な衣類が含まれていた場合で、被保険者自身が旅行行程中に着用することを目的にこれらの衣類を購入し、または貸与を受けたときの費用をいい、他人への謝金および礼金は含みません。
  2. 生活必需品購入費
    寄託手荷物の中に、洗面用具、かみそり、くし等、被保険者が予定していた旅行行程において必要不可欠な生活必需品(注)が含まれていた場合で、被保険者自身が旅行行程中に使用することを目的にこれらの生活必需品(注)を購入し、または貸与を受けたときの費用をいい、他人への謝金および礼金は含みません。
  3. 身の回り品購入費
    1.および2.において購入し、または貸与を受けた衣類や生活必需品(注)を持ち運ぶためのかばん等、被保険者が予定していた旅行行程において1.および2.以外にやむを得ず必要となった身の回り品を購入し、または貸与を受けた場合の費用をいい、他人への謝金および礼金は含みません。

(注) 生活必需品
1.の衣類を除きます。

第4条(保険金を支払わない場合)

当会社は、次の1.から7.までのいずれかに該当する事由によって生じた費用に対しては、寄託手荷物遅延等費用保険金を支払いません。

  1. 保険契約者(注1)または被保険者の故意もしくは重大な過失または法令違反
  2. 寄託手荷物遅延等費用保険金を受け取るべき者の故意もしくは重大な過失または法令違反
  3. 戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変。ただし、テロ行為(注2)を除きます。
  4. 地震もしくは噴火またはこれらによる津波
  5. 核燃料物質(注3)もしくは核燃料物質(注3)によって汚染された物(注4)の放射性、爆発性その他の有害な特性またはこれらの特性による事故
  6. 3.から5.までの事由に随伴して生じた事故またはこれらに伴う秩序の混乱に基づいて生じた事故
  7. 5.以外の放射線照射または放射能汚染
  • (注1) 保険契約者
    法人である場合は、その理事、取締役または法人の業務を執行するその他の機関をいいます。
  • (注2) テロ行為
    政治的、社会的もしくは宗教・思想的な主義・主張を有する団体・個人またはこれと連帯するものがその主義・主張に関して行う暴力的行動をいいます。
  • (注3) 核燃料物質
    使用済燃料を含みます。
  • (注4) 核燃料物質(注3)によって汚染された物
    原子核分裂生成物を含みます。

第5条(事故の通知)

(1)

保険事故が発生した場合は、保険契約者、被保険者または寄託手荷物遅延等費用保険金を受け取るべき者は、保険事故の発生の日からその日を含めて30日以内にその事由の発生および遅延等の状況を当会社に書面等により通知し、当会社が説明を求めたときは、これに応じなければなりません。

(2)

(1)の場合において、保険契約者、被保険者または寄託手荷物遅延等費用保険金を受け取るべき者は、他の保険契約等に関する事実の有無および内容(注)について、遅滞なく当会社に通知しなければなりません。

(3)

保険契約者、被保険者または寄託手荷物遅延等費用保険金を受け取るべき者は、(1)および(2)のほか、当会社が特に必要とする書類または証拠となるものを求めた場合は、遅滞なく、これを提出し、また当会社が行う損害の調査に協力しなければなりません。

(4)

保険契約者、被保険者または寄託手荷物遅延等費用保険金を受け取るべき者が、正当な理由がなく(1)から(3)までの規定に違反した場合、またはその通知もしくは説明について知っている事実を告げなかった場合もしくは事実と異なることを告げた場合は、当会社は、それによって当会社が被った損害の額を差し引いて寄託手荷物遅延等費用保険金を支払います。

(注) 他の保険契約等に関する事実の有無および内容
既に他の保険契約等から保険金または共済金の支払を受けた場合は、その事実を含みます。

第6条(保険金の請求)

(1)

この特約にかかる保険金の当会社に対する保険金請求権は、被保険者が第2条(保険金を支払う場合)(1)の費用を負担した時から発生し、これを行使することができるものとします。

(2)

この特約にかかる保険金の請求書類は、次の1.から7.までに掲げる書類とします。

  1. 保険金請求書
  2. 保険証券
  3. 当会社の定める事故状況報告書
  4. 航空会社またはこれに代わるべき第三者の事故証明書
  5. 第3条(寄託手荷物遅延等費用の範囲)の費用の支出を証明する領収書または精算書
  6. 寄託手荷物遅延等費用保険金の委任を証する書類および委任を受けた者の印鑑証明書(注)
  7. その他当会社が普通保険約款第27条(保険金の支払時期)(1)に定める必要な事項の確認を行うために欠くことのできない書類または証拠として保険契約締結の際に当会社が交付する書面等において定めたもの

(注) 印鑑証明書
寄託手荷物遅延等費用保険金の請求を第三者に委任する場合とします。

第7条(他の保険契約等がある場合の保険金の支払額)

(1)

第2条(保険金を支払う場合)(1)の費用に対して保険金を支払うべき他の保険契約等がある場合において、それぞれの支払責任額の合計額が第3条(寄託手荷物遅延等費用の範囲)の費用の額を超えるときは、当会社は、次に定める額を寄託手荷物遅延等費用保険金として支払います。

  1. 他の保険契約等から保険金または共済金が支払われていない場合
    この保険契約の支払責任額
  2. 他の保険契約等から保険金または共済金が支払われた場合
    第3条の費用の額から、他の保険契約等から支払われた保険金または共済金の合計額を差し引いた残額。ただし、この保険契約の支払責任額を限度とします。

(2)

(1)の費用の額は、それぞれの保険契約または共済契約に免責金額の適用がある場合は、そのうち最も低い免責金額を差し引いた額とします。

第8条(代位)

(1)

第2条(保険金を支払う場合)(1)の費用が生じたことにより被保険者が損害賠償請求権その他の債権を取得した場合において、当会社がその費用に対して寄託手荷物遅延等費用保険金を支払ったときは、その債権は当会社に移転します。ただし、移転するのは、次の1.または2.のいずれかの額を限度とします。

  1. 当会社が費用の全額を寄託手荷物遅延等費用保険金として支払った場合
    被保険者が取得した債権の全額
  2. 1.以外の場合
    被保険者が取得した債権の額から、寄託手荷物遅延等費用保険金が支払われていない費用の額を差し引いた額

(2)

(1)の2.の場合において、当会社に移転せずに被保険者が引き続き有する債権は、当会社に移転した債権よりも優先して弁済されるものとします。

(3)

保険契約者、被保険者および寄託手荷物遅延等費用保険金を受け取るべき者は、当会社が取得する(1)または(2)の債権の保全および行使ならびにそのために当会社が必要とする証拠および書類の入手に協力しなければなりません。この場合において、当会社に協力するために必要な費用は、当会社の負担とします。

第9条(普通保険約款の適用除外)

普通保険約款第3条(保険金を支払わない場合-その1)、同第4条(保険金を支払わない場合-その2)、同第10条(職業または職務の変更に関する通知義務)、同第11条(目的地の変更に関する通知義務)、同第20条(保険料の取扱い-告知義務・通知義務に伴う変更等の場合)(2)、(3)、(6)および(7)、同第25条(事故の通知)ならびに同第31条(代位)の規定は適用しません。

第10条(普通保険約款の読み替え)

この特約については、普通保険約款を次のとおり読み替えて適用します。

  1. 第2条(保険金を支払う場合)(4)の規定中「(1)の規定」とあるのは「この特約第2条(保険金を支払う場合)の規定」
  2. 第27条(保険金の支払時期)(注1)の規定中「前条(2)および(4)」とあるのは「この特約第6条(保険金の請求)(2)および普通保険約款第26条(保険金の請求)(4)」
  3. 第30条(時効)の規定中「第26条(保険金の請求)(1)に定める時」とあるのは「この特約第6条(保険金の請求)(1)に定める時」

第11条(重大事由による解除に関する特則)

保険契約者または被保険者が普通保険約款第17条(重大事由による解除)(1)の③ア.からオ.までのいずれかに該当することにより同条(1)または(2)の規定による解除がなされた場合は、同条(3)の規定は、同条(1)の③ア.からウ.までまたはオ.のいずれにも該当しない被保険者に生じた費用については適用しません。

第12条(準用規定)

この特約に定めのない事項については、この特約の趣旨に反しないかぎり、普通保険約款およびこの保険契約に付帯された特約の規定を準用します。

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