イタリアの医療事情とは?

ロングステイ財団、認定アドバイザーがご案内します海外旅行保険の豆知識。

本日は、これから夏休みシーズンに向けて海外旅行を楽しまれる方も多いと思いますが、
日本人が多く渡航する渡航先国の医療事情などをご紹介。
事前にお国事情を知っておくと、安心できるかもしれません。

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1.衛生・医療事情一般

イタリアは大部分が地中海性気候に属しています。気温変動は日本とほぼ同様ですが、冬期は雨が多く、夏期は乾燥して日差しが強くなります。

医療は日本および他の西欧先進諸国と同様の水準にあり、医療機関を選択すれば本邦と比較して医療技術・設備などに遜色はありません。しかし、当地の医療は専門性がより細分化しており、大規模病院では各科の連帯が必ずしも良いとは言えず、境界領域疾患や疾患が他科に及ぶ場合などは診療が円滑に進まないという不満の声も聞かれます。当地の医療機関(公立病院、救急センターなど)では通常英語は通じませんが、外国人の増加による通訳ボランティアの配置や、外国研修経験があり英語を解する医師も増えてきています。

イタリアの医療制度は、国民健康保険による保健医療と非保険診療である自由診療に分けられますが、国民健康保険に加入した外国人は比較的低額で公立病院を受診できます。しかし、公立病院は、通常混雑し、待ち時間が長く手続きなども煩雑です。同じ公立病院で予約制の自由診療を併行していることもありますが、日本の医療サービスに慣れた邦人は戸惑うことが多いようです。従って、海外旅行医療保険などに加入している外国人は、自由診療の私立病院あるいはクリニックに受診することが多くなります。私立病院は、大概英語が通じ医療環境も良好ですが、医療費は高額です。また、公立病院や私立病院に籍を置く医師がかけもちで個人開業する、いわゆるプライベートクリニック(外来中心の完全予約制クリニック)も市中のいたるところで機能していますが、外来診療が主で検査、入院施設は基本的になく、患者は検査を外部の検査専門機関で受け、外科的処置や小手術は必ずしも受診時に行えるとは限りません。従って、時間的に制約のある旅行者は、最初から公立総合病院の救急への受診が適当と思われます。観光都市ローマには、近年、ツーリスト・メディカル・ガードが設置され、救急が受け付けないような簡単な初期診療・処置、薬購入のための処方箋等を外国人旅行者にも施してくれるところが出来てきています。何れにせよ、概して高額な当国の医療費に備えて各種海外旅行保険への加入を強く勧めます。尚、公立病院は、救急退院時に支払い清算がなされず、後日の請求になったり、領収書のみで治療明細書が発行されないことも多いので注意を要します。

2.かかり易い病気・怪我

当地特有のかかり易い疾病はありません。なお、当国の交通事情と運転マナーは悪く、市街地といえども車の歩行者に対する交通ルールが日本のように遵守されることは希です。交通事故に合わないよう注意することが必要です。

3.健康上心がける事

水道水は安全基準をみたしていますが、カルシウム成分の多い硬水で日本の軟水とは異なります。当地の水を飲み慣れていない外国人は、飲料水に市販のミネラルウォターを用いる方が無難です。

夏期は、日照時間が長く雨もほとんど降らないため乾燥します。長時間の外出など、脱水や体力を予想以上に消耗させることを念頭に行動計画をたてることを勧めます。

4.予防接種

(1)赴任時に必要な予防接種
成人・小児とも、本邦からの入国に際して必要な予防接種はありません。本邦以外を経由して入国する場合、経由地によっては検疫官が国際保健規則による検疫伝染病の予防接種(黄熱病など)の提示を求めることがあります(DP、Polio、HBは接種証明書を求められる場合があります)。

(2) 小児定期予防接種一覧(2003年12月現在)

初回/2回目/3回目/4回目

BCG: 任意
ポリオ: 3ヶ月/5ヶ月/1歳/3歳
DPT: 3ヶ月/5ヶ月/1歳
MMR: 12~17ヶ月/小学生
B型肝炎: 母親が抗原陽性の場合のみ
インフルエンザb菌:3ヶ月/5ヶ月/1歳

(3) 学齢期の子供を同伴する場合は予防接種済みの証明を学校を通じて
当地保健所に提出する義務があるため本邦医療機関で母子手帳等を基に用意
(伊語or英語可)して下さい。

病気になった場合(医療機関等)

救急車は公営のものは118番(あるいは警察113番)で呼ぶことができます。
料金は無料ですが搬入先病院の指定はできません。
また、呼出し自体に英語が通じないと考えた方がよいでしょう。
このほかに民間の救急車派遣会社がいくつか存在します。有料ですが搬入先を
選べる利点があります。
また、私立の各総合病院は独自の救急車を用意していることが多くこの場合も
有料ですが当然ながら搬入先は明確であり英語が通ずることがほとんどです。

新東京国際空港

イタリアの市街地中心部から郊外での主な病院のご紹介です。

◎ ローマ

総合病院

(1) Policlinico Agostino Gemelli

所在地:Largo Agostino Gemelli 8
電話:(06)30151
URL:http://www.unicatt.it/
概要:バチカン・カソリック大学付属病院。
高度先進医療施設でもある。公立と言うこともあり受付等の英語対応には
やや難があり、更に常に患者で混雑している。

(2) Policlinico Umberto

所在地:Viale del Policlinico 155
電話:(06)49971
URL:http://www.policlinicoumberto1.it/
概要:ローマ大学付属病院。公立。高度先進医療施設。
旧市街中心分部に位置し混雑している。

(3) Ospedale San Giacomo

所在地:Via Antonio Canova 29
電話:(06)36261
概要:公立。上記2病院に比べると規模は小さいものの全科対応。
同様に混雑している。

(4) Rome American Hospital

所在地:Via Longoni 69
電話:(06)22551
概要:私立。ローマ随一の設備と医療環境を誇るが市内東方の郊外に位置し、
車で40~50分かかる。医療費は高額である。

(5) European Hospital

所在地:Via Portuense 700
電話:(06)659751
概要:私立病院であるので医療環境・設備ともに充実している。
英語も問題なく通用する。医療費は高額。

(6) Casa di Cura Villa Flaminia

所在地:Via Luigi Bodio 58
電話:(06)362061
概要:私立。市街中心部北方の郊外にあり、車で20~30分。
規模は前二者に比べるとやや小さいが設備、医療環境、
費用等すべて前二者に同レベルである。

(7) Salvator Mundi International Hospital

所在地:Viale delle Mura Gianicolensi 67
電話:(06)588961
概要:私立。テベレ川西岸の市街地中心。英語対応はまずまず問題ない。

(8) Casa di Cura Ars Media

所在地:Via Cesare Ferrero di Cambiano 29
電話:(06)362081
URL:http://www.arsmedicacasadicura.it/
概要:私立。規模は小さいが設備・院内環境とも良好。英語可。

専門病院

(1) Ospedale Pediatrico Bambino Gesu

所在地:Piazza S. Onofrio 4
電話:(06)68591、Fax:06-68592100 (Health Direction)
URL:http://www.ospedalebambinogesu.it/
概要:公立、小児科。サンピエトロ寺院近くに位置し、
小児疾患に24時間対応。

(2) Centro Traumatologico Ortopedico (CTO)

所在地:Via San Nemesio 28
電話:(06)51001
概要:公立。外傷全般に対応。

(3) Centro Oftalmico di Roma

所在地:Piazzale degli Eroi 11
電話:(06)68351~2
概要:公立。眼科専門。市街中心にあり、眼科の救急疾患に対応。

(4) Ospedale G. Eastman

所在地:Viale Regina Elene 287
電話:(06)844831
概要:公立。歯科専門。

救急車派遣会社

(1) MEDLINE

電話:(06) 8080995、8080480
概要:有料。受け入れ病院を指定可。

(2) INTERNATIONAL MEDICAL CENTER

電話:(06)4882371

飛行機

○ ミラノ

総合病院

(1) Ospedale Fatebenefratelli

所在地:Corso di Porta Nuova 23
電話:(02)63631
URL:http://www.fatebenefratelli.it/
概要:公立。市街中心部、日本総領事館からも徒歩数分の距離。

(2) Ospedale Maggioredi Milano

所在地:Via Francesco Sforza 35
電話:(02)55031
URL:http://www.policlinico.mi.it/
概要:公立。道路を挟んでミラノ大学の相向かい。

(3) Ospedale Niguarda Ca’Granda

所在地:Piazza Ospedale Maggiore 3
電話:(02)64441
URL:http://www.ospedaleniguarda.it/
概要:公立。ミラノ中央駅北西方向にある北公園(Parco Nord Milano)
南端に位置し市街中心部からはやや距離がある。

○ フィレンツェ

Ospedale Santa Maria Nuova

所在地:Piazza Santa Maria Nuova 1
電話:055 27581
URL:http://www.asf.toscana.it/
概要:公立の総合病院。ドゥオモから北東方向に徒歩4、5分の至近距離。

○ ナポリ

Policlinico Federico II

所在地:Via Sergio Pansini 5
電話:081 7461111
URL:http://www.unina.it/
概要:ナポリ大学付属の公立総合病院。市街から西方の郊外。

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