メキシコの医療事情とは?

ロングステイ財団、認定アドバイザーがご案内します海外旅行保険の豆知識。

本日も、これから夏休みシーズンに向けて海外旅行を楽しまれる方も多いと思いますが、
日本人が多く渡航する渡航先国の医療事情などをご紹介。
事前にお国事情を知っておくと、安心できるかもしれません。

_________________________________

1.衛生・医療事情一般
メキシコ全体の気候は緯度、高度、山脈の走行、海流などの要因により多様性に富んでいます。北部は乾燥していて、夏と冬の気温差は激しい一方で、南部は1年中高温多湿です。首都メキシコシティは標高2,240メートルの高地であり、気候は年間を通じて温暖で、最も寒冷な12月と1月で東京の秋程度、一番暖かい4月から7月で東京の初夏程度です。1年を11月~4月の乾期と5月~10月の雨期に大別できます。メキシコシティでは、90年代初めより大気汚染が深刻化し特に乾期には光化学スモッグが問題となっていましたが、近年ディーゼル車の制限や排気ガス点検の義務化により改善に向かいつつあります。しかし、依然その汚染レベルは基準を大きく超えており、慢性呼吸器疾患を持つ人は注意が必要です。

医療レベルは一定の水準にあり、都市部の私立病院の中には、アメリカと比較しても遜色ない設備の整った病院もあります。ただし、公立病院では予算不足による機材や設備の老朽化、医薬品の不足が問題となっており、満足な治療が受けられない場合があるため、ほとんどの日本人は私立病院を受診します。病院では医師以外は、英語の通じない病院スタッフがほとんどです。私立病院での医療費支払いは高額なため、クレジットカードが必要です。医療費は高額で、例を挙げると診察が1万円(検査・薬代は別会計)、血糖検査1,500円、腹部超音波検査2万5千円、胸部X線検査4千円、MRI検査9万円、上部消化管内視鏡検査10万円などです。また、入院の室料は1泊1万円から8万円程度です。例えば、私立病院に下痢・嘔吐による脱水で入院した乳児が血液検査・抗生物質を含む点滴を受けて3日間の入院で25万円程度となります。注意点として、救急外来受診時には、診察前にデポジットを支払う必要があり(5万円程度)、入院になると約25万円の前払いを要求されます。支払いできない場合は診察を拒否されます。従って、海外旅行傷害保険に入っておくことをおすすめします。

2.かかり易い病気・怪我
(1)高山病:標高2,240メートルのメキシコシティでは、軽症の高山病に悩まされることがあります。高地適応については年齢因子よりも個人差がありますので元気な若者でも症状が出ます。頭痛、吐き気、腹部膨満、動悸、息切れ、倦怠感、不眠等の症状が見られます。対策は無理に動き回らないこと、アルコール摂取を控えることや水分を多めに摂取することです。

(2)感染性胃腸炎:ウイルス、細菌などが原因で腹痛、嘔吐、下痢、発熱などの症状を起こします。1年を通して多くみられます。強い腹痛、高熱、血便、脱水等の症状が出た時には早期に病院を受診し、便検査や血液検査等で原因を明らかにした上で治療を開始することをおすすめします。

(3)原虫・寄生虫による消化管疾患:内服治療が必要になります。寄生虫(蟯虫、回虫、条虫)は全国的に見られます。

(4)呼吸器感染症:メキシコシティは年間を通じて空気が乾燥しており、特に乾期では湿度が20%を下回ることもあります。このため呼吸器感染症にかかると長引く傾向にあり、ときに咳が1ヶ月以上も続くことがあります。喘息等の慢性呼吸器疾患を持つ人はメキシコ渡航前に主治医とよく相談する必要があります。

(5)デング熱:デングウイルスを保有する蚊に刺されることによって感染します。メキシコの低地や海岸地域で見られます。

(6)マラリア:当国では三日熱マラリアがほとんどです。マラリア原虫を保有する蚊に刺されることにより感染します。

(7)サソリ:メキシコ市内でも散見されます。刺されたら可能であればサソリを捕獲して救急外来に受診してください。

(8)交通事故:完全な車優先社会ですので、たとえ青信号でも注意して道路を横断する必要があります。運転時には他者の無謀運転の巻き添えにならないよう十分に注意してください。また、道路は陥没していたり、マンホールの蓋がないまま放置されていることがあります。歩道も同様に穴があいていたり、基礎工事の金属棒が飛び出していたりしますので注意してください。

3.健康上心がける事
(1)屋台のタコスやアイスクリ-ムなどは温度管理が悪いと病原菌が急激に増加します。加熱調理されたものは熱いうちに食べ、生ものは避けましょう。

(2)飲料水は市販のボトルに入ったものを使用しましょう。

(3)旅行中に体調をくずし急死される高齢者の方や、ロスカボス、カンクンなどで水の事故に遭われる方がいます。時差ボケだけでなく、メキシコは国土が広いため、気候も多種多様で疲労が蓄積します。余裕を持った旅行スケジュールで行動してください。

(4)スーパーの野菜コーナーで生野菜用の消毒液を売っています。

(5)メキシコシティでは一時期より改善したとはいえ大気汚染は深刻です。交通量の多い地域を長時間歩くことは避けましょう。また、帰宅後はうがいや手洗いをしてください。

(6)高地では紫外線が強いので注意が必要です。皮膚炎、色素沈着、皮膚癌、結膜炎や白内障の原因になります。外出時は日焼け止めを塗り、帽子やサングラスを着用しましょう。

4.予防接種
(1)赴任者に必要な予防接種
入国に際し要求される予防接種はありませんが、成人・小児ともに破傷風、A型肝炎、B型肝炎の接種を受けておくことをお勧めします。メキシコは野良犬が多く、「犬・猫に対する狂犬病予防接種キャンペーン」が全国的に行われています。狂犬病の発生自体はごくわずかですが、犬に咬まれた場合にはすぐに病院を受診し、必要な処置を受けてください。また、メキシコには日本のような予防接種に関する副作用救済制度はありません。

○黄熱病予防接種について
メキシコシティで黄熱病予防接種を受ける場合

保健所の名称:Centro de Salud Dr. Angel Brioso Vasconcelos
所在地:Benjamin Hill 14, Col. Condesa
電話:5277-6311
時間:月曜~金曜 9~13時、15~18時
料金:159ペソ(2010年8月現在)
事前確認とパスポート持参が必要です。

新東京国際空港

もっと!海外へ