海外感染症シリーズ (重症急性呼吸器症候群 SARS)

本日は、厚生労働省検疫所から発表されております、
海外感染症情報のご案内です。

気をつけていたとしても感染症は、私たちの見えない場所から
知らない間に感染する恐ろしい病気。

「相手を知る」意味でも、ご参考にしていただけたら幸いです。

本日は、「重症急性呼吸器症候群 SARS」について。

重症急性呼吸器症候群
SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)

————————————————————————-

【感染地域】

 中国、香港、台湾を中心に、多くの国でSARS疑い患者が報告された。

 主な流行国と患者数は、中国5,327名、香港1,755名、台湾665名、カナダ251名、
シンガポール238名、ベトナム63名であった。(2002年11月1日~2003年8月7日)

【病原体】

 SARSコロナウイルス

【潜伏期間】

 通常2~7日であるが、10日におよぶ場合もある。

【症  状】

 症状は多くの場合は、高熱(38度以上)で始まり、咳、息切れ、呼吸困難、悪寒、
頭痛、全身倦怠感、筋肉痛を伴う。数例の患者で、発熱初期に下痢を伴ったとの報告
があるが、典型的な例では発疹、神経学的症状、消化器症状などは見られない。

 呼吸器症状は10~20%の例で、気管内挿管と人工呼吸器の装着が必要となるほど重
症化する。SARSの致死率は全体では14~15%で、年齢により24歳以下では1%未満、
25歳~44歳では6%、45歳~64歳では15%、65歳以上では50%以上と推定されている。
(WHO 2003年5月7日)

【治療方法】

 現状では、特効的な治療方法は解明されていないため、対症治療で行う。

【感染経路】

 ヒトからヒトへ飛沫感染する。(咳など) また、特殊な環境下で糞便からの感染
が疑われている。

 市販のマスクは飛沫感染を防ぐのに有効である。また、N95マスクの使用が医療用に
推奨されている。

【予防方法】

 感染の可能性のある場所では、うがい、手洗いを丁寧に行う。人込みを避け、やむ
をえず行くときはマスクを着用する。

【帰国後の注意】

 発生地域から帰国後10日以内に、38度以上の急な発熱と、咳、息切れ、呼吸困難な
どの呼吸器症状で医療機関に受診する人は、あらかじめ、医療機関に電話で症状を説
明した上で受診する。

 なお、現在のところ、国内では症状等が出てない方のSARS検査は実施できません。
p19