古典的犯罪手口が減らないワケ

ケチャップスリ、コイン落とし、道案内スリ…。皆さんご存じですか? 

『活気のある市場を歩いていたAさん。ホットドッグを食べながら歩いてきた男性
がぶつかってきて、服にケチャップがついた。その男性は恐縮しながらAさんのジャ
ケットについたケチャップを一生懸命拭き取った。財布がすられていることには、そ
の男性と別れた後で気がついた。』

『ショッピングモールを歩いていたBさん。前を歩いている女性が何枚ものコイン
を落とした。周りを歩いていた人がコインを拾うのを手伝い、気の毒に思ったBさん
も、持っていたカバンを置いて一緒になって手伝った。拾い終えたコインを女性に手
渡した後、ふと気がつくと、パスポートや持病の薬が入ったカバンが消えていた。B
さんは、「あなたの仲間が盗んだのではないか」と問いつめたが、その女性は、気の
毒そうな顔をしつつも「自分は関係ない」と言って立ち去った。』

『多くの観光客で賑わうスポットを歩いていたCさん。観光客らしきカップルか
ら、Cさんの持つ地図を見せて欲しいと頼まれた。そのカップルは、目的地になかな
かたどり着けないというので、持っていた荷物を足下に置いて、両手で地図を開きな
がら、目的地への行き方を一緒になって考えていると、通りすがりの男が突然Cさん
の荷物を持って走り去った。道を尋ねてきたカップルがその男を追いかけ、Cさんも
荷物に航空券が入っていたので必死になって追ったが、行く手を人に遮られ、ついに
見失った。そして、いつの間にかそのカップルも消えていた。』

これらの犯罪手口は古くからあるものですが、日本人旅行者の被害が跡を絶ちませ
ん。古典的な手口と言っても、旅行者自身がその存在を知らなければ対策を講じるこ
ともできませんし、心構えもできません。

「たかがスリ」、「自分だけは絶対大丈夫」と思い込んだり、「面倒くさいから私は
結構」と考える前に、こういった被害に遭って現金やカード、パスポートがなくなっ
たときのことを是非想像してみてください。

どうやって旅行を続けますか?

犯人が捕まることは稀ですので、盗まれた現金や貴重品はまず戻ってきません。ま
た、盗まれたパスポートや航空券の代わりがすぐに入手できるとは限りませんので、
旅行の日程を変えざるを得ないこともありますし、場合によっては旅行を中止し、帰
国しなければならないこともあり得ます。

せっかくの海外旅行ですから、トラブルに遭って旅行が台なしにならないよう、少し
面倒でも行き先でよく発生している犯罪の手口を知って、万全の対策と心構えで
楽しい旅行にしてください。

それでは良いご旅行を!