日本と異なる交通事情

『学生仲間を乗せてドライブ中、開放的な一本道が続く道路でついついスピードを
出してしまい、突然車のコントロールを失って横転。後部座席の2人が死亡。

海外、特に欧米の先進国の道路は日本よりも道幅が広く交通量が少ない場合が多いせ
いか、スピードを出し過ぎる傾向があり、その結果、事故に遭遇するケースが従来か
ら後を絶ちません。

一方、いわゆる発展途上国のうち、特に経済発展のめざましい国々では、自動車やオ
ートバイが急増する一方、交通関係法令や交通インフラ等の整備が追いついていない
ことに加え、ドライバーへの交通安全教育の遅れから、歩行者の安全に対する配慮が
十分とは言えない車優先社会となっている場合があり、日本人観光客等が巻き込まれ
る事故が度々報告されています。

『卒業旅行で途上国を訪れたAさん。車やバイクがひしめき合う大通りを渡ろうと
したが、近くに信号機や横断歩道は見あたらない。途切れることのない車の流れをA
さんがしばらく眺めていると、現地の女学生が車の間を縫うようにして平然と横断し
ていく。自分にも出来そうだと自信を持ったAさんが車道に一歩を踏み出した瞬間、
車の陰から突然現れたオートバイと衝突。幸い、スピードが出ていなかったため両者
ともに軽傷ですんだが、その後のAさんは、旅行の大半を現地の警察や保険会社との
連絡、病院での治療に費やした。』

このような場合には、近くへの移動であってもタクシーを利用するなどより安全な方
法をお勧めします。そして、時には横断することを断念する勇気も必要です。

『大学の休みを利用し、バックパック一つを背負って途上国へきたBさんは、短期
間で効率よく観光しようとオートバイをレンタルすることにした。ところが、どの店
のオートバイにもミラーはなくウィンカーが故障している上、ヘルメットは貸しても
らえない。Bさんは一瞬ためらったものの、これからタクシーの値段交渉をしたり、
バス停を探すのも面倒になり、結局、オートバイを借りて市内観光を開始。騒然とす
る道路を、Bさんは車やオートバイの間を縫って走行していたが、突然飛び出してき
た歩行者を避けようとして路肩の電柱に激突。全治一ヶ月の重傷で入院することにな
った。短期間で効率よくと思って借りたオートバイだったが、長期の入院に高額な治
療費を要し、時間もお金も無駄になってしまった。』

歩行者が道路を自由に横切ったり、少々の接触事故は当たり前という環境において
は、慣れない旅行者が運転することは非常に危険です。

海外邦人援護統計によると、2006年に日本人が海外で交通事故に遭い亡くなった
ケースは43人に上ります。どんなに日本での運転歴が長くても、海外では初心者で
あるということを忘れずに、より謙虚に、より慎重に。