シンガポールでの安全の手引き#2

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本日は先日の引き続き、外務省在シンガポール日本国大使館より2013年に発表されております「シンガポールでの安全の手引き#2」についてのご案内です。

シンガポールの治安状況の把握や、海外旅行保険、留学保険、駐在保険などの加入へのご参考にしていただき、くれぐれも現地での滞在にはご注意下さい。

※このブログの情報ソースについて、当発信者が外務省等へ著作権の確認と、

文章引用について関係部署への報告・確認を行い、皆様方にご案内しております。

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【治安の状況】

ア. 犯罪の発生状況と傾向

過去10年間の犯罪認知件数の状況を見てみますと、2002年から2005年までは増加する傾向にありましたが、2006年以降ほぼ横ばいとなっています。その一方、人口は増加し続けていますので、人口10万人当たりでの犯罪発生件数(これを「犯罪発生率」といいます。)は減少傾向にあり、2012中の犯罪発生率は581件と、前年よりも25件減少しています。なお、この581件という数値は、他の国と比較してもかなりいい部類に入ります(日本における2010年の刑法犯の発生率は約1,774件となっています(法務省「平成23年版犯罪白書」))。

統計基準も違うので、単純な比較はできませんが、それでもシンガポールの治安は引き続き良好な状態を維持していると言えるでしょう。

イ. 2012年中の犯罪情勢

シンガポール警察が発表した統計資料によれば、2012年中の犯罪認知件数は30,868件と、前年に比べ536件(約2%)減少しました。犯罪類型別に見た場合、家宅侵入、強盗、商業犯罪等で件数は減少していますが、窃盗の件数は増加しています。

特に注意する必要がある事項として、シンガポール警察は以下の3点を挙げています。

① オンライン等で購入した物品が配達されない。

② 偽造品や値段とは程遠い価値しかないような物品を騙されて購入する。

③ 偽装誘拐詐欺、宝くじ詐欺、オンライン上で知り合った異性がでっち上げた話でお金を騙し取られる。

確かにシンガポールの治安は良好な状況が保たれていると言えますが、このことは決してシンガポールでは犯罪被害に遭わないということではありません。シンガポール警察が展開している犯罪防止キャンペーンの一つに、「Low Crime Doesn’t Mean No Crime.」というスローガンがあるように、誰もが被害者になってしまう危険性があります。被害を未然に防止するためにも、日頃からニュースを見たり、大使館や地元警察のウェブサイトをチェックするなどして、十分な対策と心構えをしておくことが大切です。

【国際テロ情勢】

シンガポールの治安当局は、2001年12月以降、イスラム過激派ジェマア・イスラミア (JI)のメンバーを大量に検挙しました。捜査の結果、これらのメンバーがシンガポール国内の米国大使館等の米国関連施設、チャンギ空港、ジュロン石油化学基地等をテロ攻撃対象として調査偵察していた事実が明らかとなりました。

JIは、オサマ・ビン・ラディン(2011年5月に死亡)率いるアル・カーイダとも関連があると言われるイスラム過激派組織で、死者200人以上を出した2002年10月のバリ島連続爆弾テロ事件を始めとして、インドネシアやフィリピンで発生した爆弾テロ事件に関係していると言われています。 2009年9月には、主要幹部であったヌルディン・トップが、2010年3月には、ドゥルマティンがインドネシア警察によってそれぞれ射殺され、その他のメンバーも周辺国で相次いで逮捕・殺害されるなど、組織は大きなダメージを受けています。しかし、爆弾製造等のテロ遂行能力を有するメンバーが依然として逃走中です。加えて、2010年2月にはインドネシア・アチェ州で武装グループの軍事訓練キャンプがインドネシア当局によって摘発され、その後、関係者の潜伏先からシンガポール中心部の地図が発見されました。今のところ、シンガポールにおいてテロ攻撃が行われるという具体的な情報はありませんが、上記のような情勢を受け、シンガポール政府は引き続き国民に注意を呼び掛けるとともに、テロ対策に力を注いでいます。

【治安機関の制度、組織、能力】

ア. 警察と中央麻薬局

シンガポール政府の内務省が、国内の治安全般の責任を有しており、下部組織として警察、中央麻薬局、民間防衛庁(消防・救急等)、入国管理庁、国内治安局、監獄局等があります。警察(Singapore Police Force)が一般の犯罪捜査、防犯活動、交通取締りなどを、中央麻薬局(Central Narcotic Bureau)が麻薬の取締りを担当しています。

イ. 6つの地域警察本部

国内を6つに分けて、それぞれの地域警察本部があります。

規模は、日本の大きな警察署程度で、犯罪が発生した場合に捜査を行う刑事課や警備活動等を担当する作戦課等があります。同本部では、交通事故や犯罪被害の届け出の受理も行っています。

ウ. 日本の交番に似た「NPC」・「NPP」

当地では日本の交番制度を研究し、当地に適用させた「Neighborhood Police Centre (NPC)」・ 「Neighborhood Police Post (NPP)」という制度が定着し、地域の治安の維持に大きな役割を果たしています。

6の地域警察本部の下にそれぞれ複数のNPCが設置され、各NPCは担当地区の治安を維持する責任を一次的に有しています。そして、NPCの下にNPPが設置され、原則として1名の警察官が配置されています。

NPCは24時間オープンですが、NPPは正午から夜10時までの時間帯しか開いていません。
NPCでは、事件事故発生時の初動措置、相談受理、防犯指導、交通事故や犯罪被害の届出の受理等を行っています。NPCの所在地は、右上写真のように、付近の道路に標識等で表示されています。

エ. 警察の権限と信頼度

警察官は、法で定めた一定の条件の下においては、裁判所の令状なくして、人の身体、着衣、携行品を強制的に検査し、人の住居に立入り、また一時的に人の身体を拘束して必要な検査を行うことができるなど、日本に比べて強い権限が認められています。警察官を含む公務員の汚職に対する政府の姿勢は厳しく、2012年1月には、汚職防止法違反の容疑で、行政庁のトップが拘束されてます。ただし、汚職取締り専門の機関が目を光らせ、一般的に、金銭の授受などの汚職は少ないと言えます。

また、警察の捜査機関等の体制と能力はきちんと整備されており、当地の司法裁判制度も公正で信頼がおけると見ていいでしょう。

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