アラブ首長国連邦の医療事情とは?前編

本日は、外務省から発表されている世界の医療事情をご紹介。
本日はアラブ首長国連邦。医療事情のご案内です。

1.衛生・医療事情一般

衛生状態は比較的良好です。都市部の水道水は主に海水を脱塩化して作られていま
す。そのため精製された時点ではきれいですが、各家庭に届くまでに汚染されている
場合がありますので、飲用には用いない方がよいでしょう。
夏の気温は日中50度前後まで上がります。周囲は砂漠ですが湿度もかなり高く、特に
夜間はかなり蒸し暑く感じます。冬は昼でも過ごしやすく、夜は10度近くまで気温が
下がることもあります。
産油国で経済的に豊かであり、公立病院の設備は最先端、あるいはそれに近いものが
そろえられています。人口の約8割が外国人というお国柄、病院のスタッフも多くは外
国人です。国籍は様々で、医療技術や疾病への対応は医師の出身国により異なること
があります。 医療機関は公立(国立・首長国立)と私立の両方がありますが、公立医
療機関を利用する場合はヘルス・カード(有料)があると医療費が安くなります。
ヘルス・カードは日本の保険証にあたるものですが、私立病院を受診する場合には必
要ありません。公立病院は二次、三次医療機関であり、通常はまず公立診療所か私立
病院を受診します。そのうえで必要があれば公立病院を紹介されます。ただし救急は
この限りではありません。
私立病院は医療費がやや高額ですが、サービスの面では公立病院より充実していま
す。医療レベルも悪くないので、多くの邦人は私立病院を利用しています。
医薬品はほとんどが欧州、米国、中近東各国からの輸入品です。
薬局では薬の服用法なども教えてくれますし、抗生物質、解熱剤など多くの医薬品が
処方箋なしに購入できます(処方箋が必要なものもあります)。

2.かかり易い病気

(1) 上気道感染症:あらゆる建物は空調設備が整っており、建物内外の温度差はか
なり大きくなります。外は砂埃が多く、建物内は乾燥していることもあって風邪をひ
く方はかなり多いようです。特に気温の下がる11月頃から上気道感染症の患者さんが
増えてきます。

(2) 紫外線障害:ほとんど毎日が晴れで、建物は白色が基調になっていることもあ
り紫外線が多く、紫外線による皮膚や眼の障害には注意が必要です。

(3) 熱中症:夏場は熱中症の患者さんが毎日病院に運ばれており、死亡する人も少
なくありません。夏季の運動には十分注意が必要です。特に気候になれていない間は
熱中症になりやすいので、長時間屋外に出ることは控えましょう。

(4) アレルギー:マンションなどの建物の空調は中央管理システムですが、十分管
理されていないことがあり、カビなどのアレルギー誘発物質 も少なくありません。
また多くの家庭で絨毯を使用しており、これもアレルギーの原因になっているようで
す。

(5) 交通事故:アラブ首長国連邦における死因の第2位が交通事故です。道が広い
ためどの車もかなりのスピードで走っています。自動車同士の事故や自動車の単独事
故が多いのですが、最近は歩行者が犠牲になる事故も増えています。

3.健康上心掛ける事

(1) 衛生状態は比較的良好ですが、温度・湿度共に高い国ですので食品の衛生には
充分気をつける必要があります。使用人を雇う場合には、衛生面での教育をすること
が大切です。

(2) 水道水は主に海水から作られていますのでその段階では問題ありませんが、家
庭に届くまでに汚染される場合があり、そのままでは飲用に適していません。飲料水
は市販のボトル入りの水にした方がよいでしょう。

(3) 紫外線対策として、余り肌を露出しない、日焼け止めクリームを使用する、サ
ングラスをかけるなどの対策をとって下さい。

(4) 熱中症予防のため暑さ対策と水分補給は重要です。屋外に出る場合は帽子など
をかぶり、こまめに水分を取るようにして下さい。

(5) 交通事故の原因としては、スピード違反や信号無視が多いようです。
ラウンド・アバウトでの接触事故もよく見かけます。道が広いので、歩行者は十分注
意して横断して下さい。

(6) 日中は暑いため外へ出る機会が少なく、どうしても室内に閉じこもりがちにな
ります。運動不足やストレスの原因になりますので、機会を見つけてフィットネスク
ラブなどで体を動かすようにしましょう。

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