ベトナムの医療事情とは?

本日は、外務省から発表されている世界の医療事情をご紹介。
本日はベトナム。
医療事情のご案内です。

1.衛生・医療事情一般

 北部ベトナムは亜熱帯に属しており、一応四季の変化があります。夏が一番長く、
5月から10月まで続きます。この期間は降水量も非常に多く断続的に雨が降り、日本の
「梅雨」のような天候が続きます。また、台風や暴風雨に見舞われることも時々あり
ます。気温は6月から9月にかけて平均30℃以上、湿度も平均80%以上にまで上昇し極め
て蒸し暑い気候となります。最高気温は時に40℃以上、最高湿度も100%にまで達する
こともあります。11月から12月下旬頃までは短い秋で、降水量は少なく比較的乾燥
し、しのぎやすい期間となります。その後3月頃までは霧雨が降る肌寒い日が多くな
り、気温も時に10℃前後にまで冷え込みます。4月には短いながら心地よい春が訪れま
す。

このように北部べトナムの気候には苛烈なものがあるので、日本から来た人はこう
した気候になじむまでは無理をせず、徐々に体を慣らすようにして下さい。

当地の医療については、年々改善が進んでいるものの、まだ芳しい情況にあるとは
言えません。医療設備は不足ぎみで、現存の医療機器をフル稼働しても患者の需要を
満たせない現状です。地方となると、大きな病院でさえレントゲン、心電計、簡単な
血液検査器程度しか備わっていない場合がほとんどで、精密検査や大手術には対応で
きません。したがって、病気や大けがの際は極力ハノイなどの主要都市に出て治療を
受ける事をお勧めします。

一方、最近になってハノイやホーチミンなどを中心に外資系の医療施設が徐々に開
設されるようになりました。これらの施設は概して小ぎれいで清潔感に富み、設備も
良好なため、日本人を含む外国人は大抵それらの施設を利用しています。とは言え、
こうした施設でも高度の医療には限界があるので、大きな手術や精密検査が必要な場
合には、バンコク、シンガポールあるいは日本などへの移送を考慮する必要がありま
す。また、こうした外資系施設の医療費は一般に高額であり、また移送となった場合
は更に多額の費用が必要となるため、万が一に備えて海外旅行障害保険に加入してお
くことを強くお勧めします。

疾病情況については、当地には感染症が多く、インフルエンザや食中毒、ウイルス
性肝炎など一般的なものから、マラリア、デング熱、日本脳炎などの熱帯病、あるい
は破傷風、狂犬病、寄生虫病といった、現在の日本では稀となった病気までが多数発
生しています。

世界保健機構(WHO)は、べトナム全土をマラリアの汚染地域に指定していますが、
主に山間部や南部メコンデルタで多く発生しています。都市部で感染するリスクは低
いので、都市で生活する邦人はほとんどマラリア予防薬を飲んでいません。しかしデ
ング熱は都市部でも時々発生しています。マラリアもデング熱も、かからないために
は蚊に刺されない工夫をすることが一番ですが、原因不明の発熱があってマラリアや
デング熱が疑われた時はすぐに医師を受診する心構えも肝要です。

なお、ベトナムはB型肝炎陽性率が高く、またHIV感染者も南部ばかりでなく北部で
も増加傾向にあります。更に、最近ではSARS(急性重症呼吸器症候群)や鳥インフル
エンザA(H5N1)型といった特殊な伝染病が発生、いずれも人に犠牲者が出て大きな社
会混乱を引き起こしました。

2.かかり易い病気

 当地に滞在する邦人の生活環境ではかぜやインフルエンザ、食中毒、感染性下痢症
といった一般的なものを除き、他の感染症に罹るリスクはそれほど高くありません
が、油断してデング熱やアメーバ赤痢などの熱帯病に罹患する邦人は時々見られま
す。一般的な病気以外で、邦人がかかりやすいものには以下のようなものがありま
す。

(1) デング熱:蚊が媒介する熱性疾患。南部メコンデルタ地帯に多いですが北部で
も発生します。高熱・頭痛・筋肉痛のほか紅斑(皮膚の紅潮)や皮下出血などが特徴
です。

(2) アメーバ赤痢:アメーバが原因の経口感染症。汚染された水・野菜・果物など
から感染します。腹痛・粘血便を特徴とします。

(3) A型肝炎:経口感染症。汚染された水・野菜・魚貝類から感染します。肝機能障
害を起こし、発熱・黄疸・強度の倦怠感に見舞われ、長期臥床を余儀なくされます。

(4) 腸チフス:経口感染症。汚染された野菜・魚貝類から感染します。全身倦怠感
の他これといった症状のない不明熱が続いた後、血便、時に腸穿孔を起こして重症化
する油断のならない感染症です。「バラ疹」と呼ばれる痒みのない小さな発疹(直径
数ミリ)が散在性に現れることがあります。

(5) マラリア:蚊が媒介する熱性疾患。全土にありますが、特に山間部や南部メコ
ンデルタに多く発生しています。クロロキン耐性の熱帯熱マラリアが多く、放置する
と危険です。罹ってしまった場合は早期の治療が必要です。予防薬としてはメフロキ
ンが推奨されています。

(6) 性感染症:エイズなどの各種性感染症が近年増加傾向にあります。

3.健康上心掛ける事

(1) 下痢性疾患や寄生虫病のほとんどは経口的に感染します。生水、氷、生野菜、
果物、魚貝類、肉類の摂取には気をつける必要があります。生野菜、調理不十分な魚
貝類、肉類の摂取は避け、生水や氷は市販のミネラルウォーターを使うのが良いでし
ょう。

(2) 冬場(12~3月ごろ)にはかぜやインフルエンザなど呼吸器感染症が流行りま
す。日頃から手洗い・うがいの習慣を身につけ、病気を寄せつけない十分な体力を養
っておくことが大切です。

(3) 交通事故を含め、事故には十分注意して下さい。日本ならば致命的とは言えな
いような外傷でも、当地の医療情況下では不測の事態を招くこともあり得ます。

(4) 当地に限らず在外生活では病気の予防が何よりも大切です。定期的な健康チェ
ック、正しい食生活、適度な運動など積極的な自己健康管理に努めて下さい。

1.予防接種

(1) 赴任者に必要な予防接種

<成人>
勧められる:A型肝炎、B型肝炎、破傷風、日本脳炎
のぞましい:インフルエンザ、腸チフス、髄膜炎菌(A+C)、狂犬病
(動物を扱う機会が多い人)

<小児>
勧められる:定期予防接種(BCG、3種混合、ポリオ、麻疹、風疹)、B型肝炎、
日本脳炎、髄膜炎菌(A+C)

のぞましい:おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、インフルエンザ、腸チフス、
インフルエンザ菌b型(Hib)

*狂犬病については、咬まれた直後から受ける「暴露後免疫」でも有効とされていま
す。万が一野犬や野生動物に咬まれた場合は直ちにワクチン接種及び(傷の深い場合
は)免疫グロブリン接種を受けて下さい。
*ベトナムに日本から直接入国する場合、検疫上必要とされるワクチンはありません
が、アフリカ、中南米地域を経由して入国する旅行者(1才以上)に対しては黄熱病ワ
クチンの接種証明が求められます。

(1) 小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

ベトナムの学校では上記の定期予防接種が求められる。インターナショナル系の学
校・幼稚園のほとんどではBCG、ポリオ、DPT、MMR、B型肝炎及びインフルエンザ菌
b型(Hib)の接種が求められる。

2.病気になった場合(医療機関等)

 外国人が良く利用する医療施設として、以下の施設があります。

(1) Hanoi French Hospital(ハノイ・フレンチホスピタル)

所在地: 1Phuong Mai, Hanoi
電話: 04-5740740、04-5760508(日本語専用デスク)
概要: フランス資本による運営。内科、外科、小児科、産婦人科、整形外科、循環器
科、脳神経外科、泌尿器科、精神科、歯科、眼科、耳鼻科、皮膚科及び救急外来があ
ります。設備としては、ベッド56床のほかICU、隔離病室、CTスキャン、血管造影装
置、内視鏡設備、超音波診断装置などがあります。フランス人主体の外国人医師とベ
トナム人医師が診療に従事しています。日本人医師・看護師はいませんが、日本人通
訳がおり上記専用デスクに連絡すれば日本語による案内が受けられます。24時間救急
対応。

(2) International SOS-Hanoi(ハノイ・SOSクリニック)

所在地: 31 Hai Ba Trung, Hanoi
電話: 04-9340666、9340555(緊急)
概要: 国際保険会社が運営。内科、外科、小児科、産婦人科、整形外科、眼科、耳鼻
科、皮膚科、歯科の外来があります。2床の短期入院用ベッドがあり短期間の経過観察
や緊急移送までの待機が可能です。簡単な外科処置は可能ですが、大きな手術はでき
ません。欧米人医師とベトナム人医師のほか日本人の医師(女医)、看護師、通訳が
各1名います。24時間救急対応。

(3) Hanoi Family Medical Practice
(ハノイ・ファミリーメディカルプラクティス)

所在地:Building A1 Kim Ma Rd. Hanoi
電話: 04-8461748~9、090401919(緊急)
概要: 外資系プライベート・クリニック。内科、外傷外科、小児科、産婦人科、歯科
の外来があります。2床の短期入院用ベッドがあり、短期間の経過観察や緊急移送まで
の待機が可能です。日本人医師・看護師はいませんが、日本人通訳が邦人への様々な
サポートを行っています。24時間救急対応。

註:いずれの施設も、緊急時以外は受診予約が必要です。救急車が必要な場合は、受
診先の医療機関に手配を依頼できます。

3.その他の詳細情報入手先

 在ベトナム日本国大使館ホームページ:http://www.vn.emb-japan.go.jp/

4.現地語一口メモ

医師:bac’ si バクシー
飲み薬:thuoc’ トゥウォック
注射:tiem ティエム
頭痛:dau dau ダウ ドウ
胸痛:dau nguc ダウ グァック
腹痛:dau bung ダウ ブング
下痢:ia chay イア チァイ
発熱:sot’ ソッ
嘔気:non ノン
傷:bi thuong ビ トゥァン
具合が悪い:bi om’ ビ オム
病院へ連れて行って欲しい:
Xin lam on dua toi den’ benh vien シン ラムオン ドゥァ トイ デン ベンビェン

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