海外感染症シリーズ (A型肝炎)

本日は、厚生労働省検疫所から発表されております、
海外感染症情報のご案内です。

気をつけていたとしても感染症は、私たちの見えない場所から
知らない間に感染する恐ろしい病気。

「相手を知る」意味でも、ご参考にしていただけたら幸いです。

本日は、A型肝炎について。

A 型 肝 炎
Hepatitis A

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 A型肝炎は、途上国では一般に存在する感染症です。
 汚染された飲食物を介して感染し、発熱、全身倦怠感や黄疸がみられ、重症化する
と著しく衰弱し、数週間から1ヶ月以上も休養が必要になることがあります。
 なお慢性化したり死に至ることは極めてまれです。1992年に安全で効果の高いA型
肝炎ワクチンが開発され、日本では、1995年から予防接種が実施されています。
 予防効果の高いワクチンなので、途上国などへ渡航される方は、接種をお勧めしま
す。

1 病原体

 A型肝炎ウイルスはピコルナウイルス科ヘパトウイルス属(Hepatovirus)に属しま
 す。

2 感染様式

 A型肝炎ウイルスが、糞便に汚染された水や氷、野菜や果物、またカキなどの魚介
類を介して、経口的に感染します。

3 症状

 肝機能検査を実施しなければ気付かない程度の軽症も多くみられます。
 潜伏期間は15~50日、平均28日で、38度以上の急激な発熱から発症し、全身倦怠
感、食欲不振、悪心嘔吐、黄疸などがみられます。
 重症例では、1ヶ月以上の休養が必要なことがあります。一般に小児が感染した場
合、成人に比べて全身症状が軽いと言われています。

4 治療方法

 特異的療法はありません。安静と食事療法が基本です。

5 予防方法

○A型肝炎ワクチンの予防接種

 A型肝炎ワクチンを2~4週間間隔で、2回接種します。さらに約半年後に1回追加接
種すると5年間は効果が得られるようです。
(新しいワクチンなので、正確なデータはまだ得られていません。)

 現在、日本でA型肝炎予防接種の可能な最低年齢は16歳以上です。
 諸外国では若年から接種しています。50歳以上の方や黄疸の既往歴のある方は、免
疫を既に獲得していることが多いのですが、予防接種を希望する場合、接種前に血液
による抗体検査で免疫の有無を調べることをお勧めします。免疫がすでにあれば、接
種不要です。

○充分加熱調理された飲食物の摂取

 感染源は主に生水、氷、生の魚介類、生野菜などです。

 A型肝炎ウイルスは85度1分の加熱で不活化するので、十分加熱調理してあるものを
食べましょう。途上国では、瓶入りミネラルウォーターや、一度沸騰させたものを飲
用しましょう。また、カットフルーツなども洗った水が汚染されていることがあるの
で、自分で皮を剥いて食べるほうが安全です。

○手洗いの励行

 食事の前には十分に手を洗い、糞便からの経口感染を予防しましょう。